2011-02-02

イストラ半島紀 2:星はまばらか 

2 星はまばらか

 ジャンボジェットの窓には無数の星が広がっていた。到着すると現地は夜の九時前後、この十二時間をどう過ごすかが時差克服のカギだ。それにしても、この見事なパノラマを見ていると夢の世界へ引き込まれそうになる。地上ではありえないが地平線やら水平線は、はるか下見えない。なるほどそりゃ見事な星空なわけだ。そんなことを考えながら、ようやく眠気を受け入れることにした。機体はまだ中国に差し掛かったあたり。

 特に夢も見ない穏やかな眠りから覚めたのは、膝の上の雑誌が落ちたからか、機体が少し揺れたからか、また、もしかしたら、機体が揺れて雑誌が落ちたのか、いや、もしかしたら、揺れてもいないのに雑誌が落ちたのか、わからない。要するに寝ぼけていた。水を二口。こうして空を飛んでいると、いったいどこへ向かっているのかわからなくなる。


道路も標識もない、たたどこへとなく飛んでいるように思える。すぐにそれは最近の自分と重なった。いったいどこへ向かっているのか。いずれ機体は目的の地へ見事な着地を決めるだろ。そう考えると、この旅の最後には、何か新しい自分に到達するかもしれないな。

 少し雲が出てきたみたい。星は少しまばらか。旅の目的を確認しながら、機体はいよいよ東ヨーロッパに差し掛かっているようだ。

つづく

Mateo=Rich

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